「普段は自分がどこにいるか分からず混乱している人が、ヤギをヤギとして認知している。今月７日の昼すぎ、那覇市天久の病院中庭。現実とつながった瞬間です」。「かわいい。

ヤギセラピーを発案した天久台病院の作業療法士、東江悟さん（４０）は、少し体を前にかがめながらヤギをなでる男性を見て喜んだ。（福井悠介）「メェ～」。犬をはじめとする動物との触れ合いを心のケアに生かす活動で、今回はヤギを介することから「ヤギセラピー」。芋のつるをやったりした」。

沖縄ならではの身近な生き物ヤギ（ヒージャー）をアニマルセラピー（動物介在活動）として活用する珍しい取り組みが県内で始まった。認知症のお年寄りも昔を思い出して会話が弾み、表情も普段より緩んだ。１６頭のヤギが、認知症などでデイケアに通うお年寄りらから、餌になる草をもらっていた。

昔は食べました」「畑から餌持ってきて。じっとしてばかりいたのに、ヤギを見て歩きだす人もいる。家畜として親しみ、祝いの場で食した認知症のお年寄りも多く、触れ合いを通して歩きだしたり、表情を取り戻す効果も挙げている。

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